深掘り質問に詰まらないための準備
結論
深掘り質問は、あなたを追い詰めるためではなく、最初の答えの裏にある考え方が本物かを確かめるためのものです。準備は、答えを増やすことより、自分の経験を時系列で書き出し、そのときの理由を思い出せるようにすることが中心です。詰まったら、知らないことは正直に認め、考える時間をもらってから答えてかまいません。
この質問の意図
新卒の面接では、最初の質問に答えたあと、「なぜですか」「具体的には」「ほかには」と続けて聞かれることがよくあります。これが深掘り質問です。
深掘りの目的は、応募者を困らせることではありません。用意してきた答えは、誰でもそれなりに整えられます。面接官はその先を聞くことで、答えの裏にある考え方が本人のものかどうか、そして入社後に同じような場面に出会ったとき、どう考えて動く人なのかを確かめようとしています。
つまり、深掘りで見られているのは答えの正しさより、自分の経験を自分の言葉で説明できるかです。言葉に詰まっても、考えながら誠実に答えようとする姿勢は伝わります。
よく出る五つの型
深掘り質問は、形を変えて出てきますが、大きく五つの型に分けられます。型を知っておくと、何を準備すればよいかが見えてきます。
| 型 | 質問の例 | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 理由 | 「なぜそうしたのですか」 | 行動の裏にある考え方 |
| 具体化 | 「具体的には何をしたのですか」 | 話が事実にもとづいているか |
| 比較 | 「ほかの方法は考えましたか」 | 選択肢を比べて決めたか |
| 反省 | 「もう一度やるなら何を変えますか」 | 経験を振り返れるか |
| 再現 | 「入社後にどう生かしますか」 | 学びがほかの場面でも使えるか |
一つの話題につき、この五つの型すべてに一言ずつ答えられれば、たいていの深掘りに対応できます。
準備の仕方
1. 経験を時系列で書き出す
ガクチカや志望動機に使う経験について、始まりから終わりまでを時系列で書き出します。いつ、誰と、何が起きて、自分は何をしたか。面接用にきれいな文章にする必要はありません。メモの形で十分です。
2. それぞれの場面で「なぜ」を書き足す
書き出した行動の横に、なぜそうしたのかを一言ずつ書き足します。理由を思い出せない行動があれば、それが深掘りで詰まりやすい場所です。思い出せる範囲で、そのときの考えを言葉にしておきます。
3. 選ばなかった方法を一つ書く
大事な決断について、選ばなかった方法を一つ書いておきます。「ほかの方法は考えましたか」と聞かれたとき、比べて決めたことを示せます。
4. 「なぜ」を三回重ねて話してみる
一人で、または友人に頼んで、一つの答えに「なぜ」を三回続けてもらいます。三回目でも自分の言葉で答えられれば、準備は十分です。
詰まったときの答え方
- 考える時間をもらう:「少し考えてもよろしいでしょうか」と言ってから答えてかまいません。黙り込むより、ずっと印象がよくなります。
- 知らないことは認める:分からないことを知っているように話すと、さらに深掘りされて苦しくなります。「そこまでは調べられていません。ただ、〜と考えています」と言えば十分です。
- 厳しい質問を受け止める:「それはあなたでなくてもできたのでは」と聞かれたら、まず認め、そのうえで自分だけが考えたこと、気づいたことを言い直します。否定から入るより、落ち着いて見えます。
- 結論から言い直す:話が長くなったと感じたら、「つまり、〜ということです」と短くまとめ直します。
面接の段階で深掘りは変わる
選考の進め方は企業によって違いますが、面接の段階によって深掘りの重点が変わることはよくあります。
- 集団面接:一人あたりの時間が短いため、深掘りは一、二問にとどまることが多いです。最初の答えを短くまとめ、聞かれたら詳しく話せるように準備します。
- 個人面接:一つの話題に何問も続けて深掘りされます。上で紹介した五つの型が順に出てくると考えて準備します。
- 最終面接:経験そのものより、志望の本気度や入社後の姿を確かめる質問が増える傾向があります。志望動機とガクチカが一本の筋でつながっているかを、もう一度確かめておきます。
どの段階でも、前の面接で話した内容と食い違わないことが大切です。面接が終わったら、聞かれた質問と自分の答えをメモに残しておくと、次の面接の準備に使えます。
聞かれる必要のない質問
深掘りの流れで、仕事の適性と関係のない質問をされることがまれにあります。厚生労働省は、公正な採用選考の考え方として、本籍や出生地、家族の職業や収入、住まいの状況、宗教や支持政党、尊敬する人物、愛読書や購読している新聞などは、応募者の適性や能力と関係がなく、聞くべきでないとしています。
こうした質問をされた場合、無理に詳しく答える必要はありません。「選考に関係のあることでしたらお答えします」と穏やかに伝え、話を自分の経験に戻してもかまいません。気になることがあれば、ハローワークや都道府県の労働局に相談できます。
また、政府は経済団体などに対し、採用選考の際のハラスメントの防止にも取り組むよう求めています。面接で不快な思いをしたら、大学のキャリアセンターなどに相談してください。
一人でできる練習
深掘りの練習は、相手がいないとできないと思われがちですが、一人でも進められます。
- 質問を自分で作る:話す予定の答えを書き出し、その一文ごとに「なぜ」「具体的には」「ほかには」を付けた質問を作ります。一つの答えから、十前後の質問が作れるはずです。
- 声に出して答える:作った質問に、書かずに声で答えます。書けば答えられることでも、話そうとすると詰まる場所が見つかります。
- 録音して聞き直す:自分の答えを聞き直すと、結論が後回しになっている、同じ言葉をくり返しているといった癖に気づけます。
- 詰まった質問だけをくり返す:うまく答えられた質問より、詰まった質問に時間を使います。二回目、三回目で答えが短く、はっきりしてくれば準備が進んでいる証拠です。
友人やキャリアセンターの模擬面接を使えるなら、自分では思いつかない角度の質問をもらえます。一人での練習と組み合わせると効果的です。
仕上げのチェックリスト
- 話す経験を時系列でメモにしてある
- 主な行動のそれぞれに「なぜ」が書いてある
- 大事な決断について、選ばなかった方法を一つ言える
- 「もう一度やるなら」に一つ答えがある
- 詰まったときの一言を決めてある
- 「なぜ」を三回重ねても自分の言葉で答えられる
深掘りへの備えは、頭の中だけでは確かめにくいものです。アプリで答えると、直す点を一つと修正例が表示されます。直す点を反映して答え直し、最初の回答と比べて、理由や具体的な場面が足りているかを確かめてください。
回答の改善例 ・ 架空の例
Q. なぜその方法を選んだのですか。
最初の回答
それが一番いいと思ったからです。
足りない点
- ほかに考えた方法
- 比べた基準
- 選んだ方法の弱点の認識
直した回答
最初は、サークルの新入生全員に先輩を一人ずつつける案も考えました。ただ、先輩の人数が足りず、続けられないと判断しました。そこで、週に一度の練習後に十五分だけ質問の時間を作る方法を選びました。全員に目が届くわけではありませんが、続けられることを優先しました。実際、半年間一度も休まずに続けられました。
回答の改善例 ・ 架空の例
Q. それは、あなたでなくてもできたことではないですか。
最初の回答
そうかもしれませんが、私は一生懸命取り組みました。
足りない点
- 自分だけが気づいたこと・決めたこと
- 質問を受け止めたうえでの言い直し
直した回答
おっしゃるとおり、質問の時間を作ること自体は誰にでもできたと思います。ただ、新入生がやめていく理由を一人ずつ聞いて、練習の内容より相談できる場がないことが原因だと気づいたのは私でした。原因を確かめてから方法を決めたところが、私の取り組みだったと考えています。
自分の経験で考えてみる質問
- なぜその方法を選んだのですか。ほかの方法は考えましたか。
- 具体的には、あなたは何をしたのですか。
- それは、あなたでなくてもできたことではないですか。
- もう一度同じ状況になったら、何を変えますか。
- その経験を、入社後の仕事にどう生かしますか。
頭の中で答えを整理したら、アプリで声に出して答え、フィードバックを受けてみてください。